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[Columns]ドングリの森の危機! 拾って育てて市民ら大活躍

里山や公園緑地の晩秋に彩りを添えるドングリたち。その実りを生み出すカシ、コナラなどを根絶やしにしかねない「ナラ枯れ」が関西中南部でも目立ち、これを食い止めようと行政や市民の動きが活発化している。なかでも市民参加でドングリを拾い集め苗木を作って植林する運動は、一見原始的で弱々しく見えながら、自然環境への愛着や気配りを育む絶好の方法として人気があり、しだいに成果をあげはじめている。
 ドングリは、コナラ、ミズナラ、クヌギ、ウバメガシなどナラの木に実り、秋地上に落ち翌春発芽する。またナラ枯れはカシノナガキクイムシという体長約5ミリの昆虫が幹に入り、この虫が運ぶ病原菌が木を枯らす。この病気は昔からあったが、1980年代末ごろから日本海側で目立ちはじめ、1990年ごろ京都府北部でも発生。その後、被害は徐々に南下し京都市周辺の山林にまで及んだ。滋賀や兵庫、大阪なども例外ではない。
 その原因について独立行政法人・森林総合研究所関西支所(京都市)は「ナラの木は、昔は炭焼きの材料、シイタケ栽培、木工品作りなどのため頻繁に伐採された。里山など自然林はその分いつも若返り、害虫が好む老木はあまりなかった」という。つまり昔は元気が良く虫も嫌う若木が多く、被害の拡大には至らなかったというのだ。また、対策として?薬剤や粘着物による駆除?被害木の切り倒し除去などがあるが、いまのところ決め手を欠いている。それでなくとも荒廃・減少傾向にある里山や自然林である。それらを守る効果的な方法の一つは、人の手でその山や林にドングリの木を補充し増やしてやることだ。
 こうした発想で生まれたのが、1990年台に香川県でスタートした「どんぐり銀行」であり、大阪府農林水産部・自然みどり課が2003年から開設した「木になる夢銀行」だ。どれも市民や児童からドングリの「預金」を預かり、預金高に応じ苗木を引き出せる仕組みで、大阪の場合は今年も先月までに預け入れれば、来年3月に払い戻しされ、自宅や許可を得て山林などに植えることができる。同課によると昨年度までに預金通帳を作ったのは1万8000人、ドングリ預金750万個、払い戻し苗3500本(ほかに学校などに苗3000本配布)という実績だ。
 こんな方式以外にも、洲本市ふるさと整備課のように、災害や枯死で荒れた山のドングリの木を再生しようと、市民が集めた実を農場で育て(今年は15000本)植林しているところもある。また、姫路市自然観察の森では、台風で倒れたヒノキ林の代わりにドングリの林を作ろうと、市民らが園内で集めたドングリを自宅で育てて持ち寄って植林する催しを2006年から実施。来春3月には計3回植樹の会(定員各60人)を催すことにしている。
 こうした市民参加のドングリ林育成の動きは各地で広がっており、行政の活動とは別に、ボランティア団体や園芸愛好家個人のドングリ栽培例も少なくない。実は、筆者自身も一昨年自宅でまいてみたところ、予想外に見事な苗木(写真)が20本ばかり育ったことを、ここでご報告しておきたい。(各務)

 
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