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[Columns]可憐な薄紫の花が人気 琵琶湖で「悪名」返上、新名物誕生?

この秋、琵琶湖中南部の随所で薄紫の可憐な花が湖面を彩り、行楽客らの目を大いに楽しませた(写真)。自然環境を破壊する恐れもあるとして疎まれがちだった外来植物・ホテイアオイの花である。その一方、琵琶湖では、これまであまり姿を見なかった別の外来植物や外来魚も異常気象に誘われるようにはびこりはじめており、これら外来の動植物をどう駆除するのか、あるいは共存の道はないのか環境保全を願う人々や行政を大いに悩ませている。
 ホテイアオイは南米原産のミズアオイ科の水草(背丈15〜60cm)で、葉の付け根が丸く膨らみ布袋(ほてい)さんに似ているところからこの名がついた。明治時代に観賞用に持ち込まれ金魚鉢や庭池で育てられていたが、今では暖地の用水池、水路、湖などに旺盛な生命力で繁殖し、水の流れを塞いだり水中に届くはずの日光を妨げたりの被害も目立ち、「害草」とみなされがちになっている。
 琵琶湖では実際被害も報告され、2003年には守山市の木浜内湖で異常繁殖して水面の酸素欠乏、さらにその枯死に伴う水質異常、生け簀のフナの酸欠死などが起きている。また、繁殖力の強いこの種の外来動植物の増殖自体が周辺生態系全体に悪影響を及ぼすことも懸念されている。このため同市など沿岸自治体はすでに、このホテイアオイの除去策を練っているが、兵庫、和歌山、岡山、岐阜などでもその被害は報告され、中国、アフリカなど外国の温暖な地域からも同様の悩みが伝えられている。
 だが、そんな「害草」にも取りえがあって味方もいる。劣悪な水質であっても平気で猛烈な繁殖力を発揮するところを逆手にとって湖沼の水質浄化に役立てようというのだ。たとえば三重県勢和村には、ほてい倶楽部というサークルがあって休耕田で観賞用にとホテイアオイを栽培。奈良県農業技術センターでは、ホテイアオイが大量の窒素やリンを吸収することから水質浄化植物としての能力を評価し、枯死したあとは有機肥料として活用できるなどと提唱している。このほか、千葉県・手賀沼や石川県・内灘町、岡山理科大学での水質浄化研究も成果が注目される。さらに、アフリカのケニアでも日本の環境団体がホテイアオイを水質浄化や有機農業に活用する指導に力を入れているとの報告もある。
 とはいえ、それだけでホテイアオイ万歳といかないところが、環境問題の難しさだ。琵琶湖では今年になって、南米原産で猛烈な繁殖力のミズヒマワリや北米原産のナマズの仲間・肉食のチャネルキャットフィッシュが見つかっており、淀川で繁殖したボタンウキクサ(ウオーターレタス)の大発生もある。いずれも生態系や人の生命などに被害を及ぼす危険があり、飼育、栽培、輸入などが規制されている「特定外来生物」である。
 昨今の異常気象がこれらにどう影響するかはわからないが、滋賀県立琵琶湖博物館によると「ホテイアオイが琵琶湖で漁業などに大被害が出るほど大繁殖する予兆は今のところない。漁船の航行などをさまたげるのは、むしろ従来からの水中藻です」とか。となると、ちょっと増えすぎの感もあるホテイアオイだが、晩夏から10月ごろのその花の最盛期に、筆者のごとき花ファンが「秋の花見」と洒落込む余地も少しは残っているのではあるまいか。(各務)

 
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