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[Columns]災い転じて…中国の木炭輸出禁止がチャンスになるか、産地和歌山の胸算用

この10月から中国が木炭輸出の全面禁止措置に踏み切り、その輸入備長炭などに頼っていたウナギの蒲焼、焼き鳥といった日本の食文化がピンチに立たされている。しかし、この「木炭危機」、これまでジリ貧状態に甘んじてきた国内の木炭産地にとっては逆に千載一遇のチャンスではある。紀州備長炭で知られる和歌山県では、木村良樹知事自ら音頭をとって増産に向けての動きを活発にしている。
中国のこの輸出禁止措置は、炭の原料となる樹木の乱伐で自然破壊が進んでいるとして実施されたものだが、中国からの輸入炭が日本の全木炭需要の3分の1を占め、とりわけ、ウナギの蒲焼、焼き鳥などに使う高級白炭(備長炭)は約80%が中国製とあって影響は大きい。林野庁でも、中国がこの方針を発表した9月段階で関係業界に状況説明するとともに、中国以外からの輸入促進、国内増産への支援などを打ち出した。
木炭にはその製造方法や原料木によって黒炭、と白炭があり、さらにオガクズなどから作るオガ炭と呼ばれるものがある。白炭のうちウバメガシを原料とするのが備長炭で、和歌山県産は古来最高級品とされてきた。だが、そんな紀州備長炭も燃料革命や林業環境の悪化などにおされ、1955年には2万トンだった年間生産量が1985年には2400トンとなり、今では1600トンにまで落ち込んでいる。
とはいえ、全国の生産量約4000トンの40%は和歌山産だ。高知、宮崎とともに三大産地としての誇りは高く、現在でも186人の製炭者(炭焼きさん)が、川辺町、中津村、みなべ町などの山林を中心に製炭作業に従事している。しかもこのうち6人は、県が2002年に始めた「緑の雇用促進事業」に都会から応募し製炭者になった人たちだ。
そこへ起きた今回の中国木炭問題である。知事は早速記者会見で「これはある意味で和歌山県にとってはビジネスチャンス。日本の白炭の年間消費量は4万4千トンもあるんですから」とぶち上げ、増産を目指して検討会を設置する方針を表明した。10月初旬には、早くも田辺市に県内の木炭、森林関係者ら30人を集めて検討会をひらき、このあと作業部会を作って具体的方法を詰めている。
検討会は、放置されたままの炭焼き窯の活用方法が提案されるなど熱気につつまれたといい、県側の担当者である谷関俊男・定住促進課長は「中国の輸出禁止措置の実態と結果を見極めながら、増産策を模索したい。単に木炭の問題としてとらえず、森林保護と有効活用、雇用対策など広い視点からチャンスを生かせたらと思っている」と意欲的だ。
「木炭危機」の推移をにらみながら木炭生産復興を目指す森林県・和歌山の期待と挑戦、果たしてほんとに「福となる」のか、見ものである。(K)