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[Columns]国際交流事業に熱心な河内長野市には優秀な交流員がいる

よく笑う。笑った顔は、まだ、あどけない。第一印象、スペインの貴公子。大阪・河内長野市のアメリカ人国際交流員、トーマス・ゼライヤさん(26)と話していると、時間がたつのも忘れてしまった。話の中身が豊かだからである。これほど優秀な国際交流員が、人口12万2,000人の、のどかな田園都市にいる? その疑問を解くカギはこのまちが取り組んでいる数々の国際交流事業にあった。
「今年7月に赴任して来たばかりです。仕事はこれからです」。それにしては、日本語がうまい。やはり、大学の日本語科を卒業したとか、日本へ留学したとか・・・。「いいえ、大学は出身地インディアナ州のウォーバッシュ・カレッジという、男子ばかりの小ぢんまりとした学校で、専攻は宗教学でした。世界の宗教、特に日本、中国の宗教です」。で、日本の宗教は日本語で学んだ? 「いいえ、授業は全部英語でした」。しかし、日本の宗教を学んでいるうちに、日本への思いがつのっていった。「卒業後、半年間、日本語を勉強しました」。2000年4月、岩手県平泉の中学に外国人語学教師(ALT)として来日した。「平泉中学、地元の人はヒラチュウといいます」。平泉と言えば、中尊寺。「そう、天台宗の名刹ですよね」。外国人はほとんどいなかった。毎日、日本語に囲まれた生活。地元の行事には積極的に参加した。雪の中、フンドシ一つになってミコシをかついだ。任期が終わると、むずかしい国際交流員の試験に合格した。赴任地は迷わず関西を希望した。「京都や奈良のお寺など大学で学んだことを、この目で確かめたくて」。
河内長野市の、国際交流にかける意気込みはすごい。今年7月、その拠点となるビル「キックス」が完成した。市民交流センターと図書館の複合施設である。ここに入居している市国際交流協会が数々のイベントを開催する。11月に開かれた「英語でフリートーキング」というイベントは、ゼライヤさんの司会で「ジェスチャー、パントマイム」をテーマに話し合った。しぐさの比較文化学である。「アメリカでは親指、中指、人さし指をもむようにしてこすり合わせると、お金を意味します。親指と中指と小指を立てると、愛しているという表現になります」。仕事は多岐にわたる。姉妹都市や諸外国との連絡、市発行の英文パンフレットの作成、市ホームページの英訳、小中高などでの国際理解教育の講師、在住外国人向けの情報誌の作成・編集、市職員への英会話講師。そして盆踊りの夜店でおでんを売り、市民のイモ掘り大会に参加し・・・席の暖まる暇がない。それにしても、この規模のまちで、これほど国際交流に熱心なまちは珍しい。意地の悪い質問をしてみた。「大学で儒教を勉強した時、秦の始皇帝の・・・」と言いかけると、みなまで言わせず「ああ、儒教の書物を焼いたり、学者を生き埋めにしたり・・・」。さすがと言うか、あの悪名高い焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)をご存知なのであった。(H)