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[Columns]電通勤務のアメリカ人コピーライター、ホールデンさんは国外向けCMを発信している

いただいた名刺に「電通関西支社クリエーティブ局 コピーライター モーリス・ホールデン」とある。 ? コピーライターといえば、TVのCMなどを創作する最先端の職業ではないか。CMには日本の社会、風俗がにじみ出ている。時代を映し出す鏡である。短い文言の中に訴求力を凝縮させなければならぬ。外国人が大丈夫か…しかしそんな懸念は無用だった。「おもに国外向けのCMなんですよ」。ホールデンさんは関西発アウトゴーイングのCMを英語でつくっているのである。
米デラウェア州ウィルミントン市出身。ウィリアムズ大学で米文学やビデオアートなどを学んだ。183センチ、95キロ。首がドボッと太い。もしかすると、アメリカンフットボールの…。「はい、ランニングバックでした」。7年前来日、大阪の中小広告代理店に勤めたあと、電通へ。アメリカと日本とでは広告事情が随分違う。例えば、アメリカにはライバル企業の製品を名ざしでこきおろす罵倒広告がある。日本にはない。日本のCMは比較広告という手法で、やんわり、さりげなく「隣のクルマが小さく見えまあす」と、控え目である。そのあたりのギャップをどうするか。「注文に応じて、いろいろな手法でやりますから苦になりません。それにしても、日本のCMには個性がないですよね。ある企業のCMがヒットすると、別の企業がマネをする。ほとんどの企業が21世紀とかミレニアムとか、ニューセンチュリーがらみの言葉を使ってほしいといって来る。コメディ系の注文も多いんです。ひと昔前の英国のギャグみたいに大げさなものが日本人にはうけるようです」。アメリカ人得意のジョークは出て来ない。終始にこやかで、おだやかに話しつづける。同席した同僚がいう。「今日はシャイになっている。社内では、思い切り明るいんです。廊下を歩いている時、顔見知りの人には片っぱしから声をかけるし…」。もっとも、外国向けのCMばかりつくっているかというと、そうでもないらしい。昨今、茶の間のブラウン管にノーベル賞を受賞した米スタンフォード大学教授が小型の集積回路を持って登場、性能の優秀さを英語でアピールするCMが流れている。あれはホールデンさんの作品である。海外向けでは、松下、ミノルタ、クボタなどのCMを担当している。33歳。3年前、日本人女性と結婚。2歳の男の子がいる。「将来はアメリカに帰り、コピーライターの仕事をつづけたいです」という。(H)