KANSAI Close-up

HISTORIC KANSAI :2000年は京都の東山で迎えたい

大晦日から元旦にかけ、ミレニアムの区切りとかY2Kの成り行きとか、気になることが多い。もう家の中で息をひそめているのが最善、という声もあるが、やっぱり日本の年の瀬と新年を味わいたいという人には、京都の東山をおすすめしたい。
「京都」は首都を意味する普通名詞だったが、ここに平安京という都が定められて以来この地を指す固有名詞になった。そういう古い都だけに、年末年始にはどこもいい雰囲気にはなるが、なかでも東山一帯は、行く年来る年の無事を祈る敬虔な人々に人気のある場所である。
今日のおすすめはその一角にある平安神宮である。ここは、1895年に、遷都1100年を記念して建てられた非常に新しい社だが、古代政治の中心的な建物・大極殿を、8分の5に縮尺して造られた、貴重な建造物である。また、広い白砂の敷地と朱塗りの建物のコントラストで、民話にある想像上の海底宮殿・竜宮城のような美しさとされる。
大晦日の夜、ここの回廊の吊るし灯籠に明かりがともされ、建物全体がくっきり浮かびあがる。無数の明かりによって無事息災を祈る「万灯」の催しである。
午前零時、日本全土の寺院で、人間の煩悩を打ち消す除夜の鐘が鳴り渡るが、東山一帯に建ち並ぶ由緒ある寺院の鐘も一斉に鳴り響いて、平安神宮を包みこむ。
この荘厳さで、さまざまな心配事を忘れることができれば、ありがたいのだが。(田中準造)