KANSAI Close-up

「サケが帰る川」今年も元気いっぱい、夢実った由良川、円山川、九頭竜川…

海ででっかく育ち、3-4年後に生まれ故郷の川に帰って産卵するサケ。そんなサケの習性を利用し、近畿の京都や兵庫の川にもサケの遡(そ)上を復活させようという試みが20年以上もまえに始まった。その後、遡上サケの食料資源的価値は大きく変わったが、人工孵(ふ)化・稚魚放流作戦は着々成果をあげ、この秋も「サケの川」は夢いっぱい、元気いっぱいに成魚たちを呼び込んでいる。
北海道や東北地方が中心のサケの遡上を近畿などでも盛んにしようという試みは、農水省が食料資源確保の観点から提唱し、同省では遡上サケの捕獲規制を続ける一方で、1979年から各府県の稚魚放流事業に資金助成も行って来た。
「サケが帰って来る川」復活作戦は、河川の汚染などに悩む各地で、自然保護の象徴的事業としても歓迎され、京都の由良川、兵庫の円山川、福井の九頭竜川などで漁協の協力を得てさっそく稚魚放流事業と捕獲調査が始められた。
京都でこの放流河川に選ばれたのは、福井県境に近い美山町に発し福知山市を経て宮津市から若狭湾に注ぐ由良川だった。幹川の延長146キロの由良川にはかっては盛んにサケが遡上したが、作戦開始当時には川の汚れなども手伝って絶望に近い状態で、京都府水産課によると初年度の遡上サケ捕獲数はわずか14匹にすぎなかった。
このため同課では、まず福知山市の筈巻橋下流、綾部市位田町など4カ所を調査捕獲場所に設定。さらに、福知山にサケ人工孵化場も設けて毎春50万匹前後の放流を続けた。その結果、サケの遡上数は着実に増え、調査捕獲数も平成元年度の1121匹は例外的に多いとしても、例年350〜450匹に達するまでになった。
こうした状況は、福井の九頭竜川でも同じで、ここでも初年度は52匹に過ぎなかった捕獲数が今では600匹以上にも増えた。さらに遡上の南限に近い兵庫の円山川でも例年300匹に迫る捕獲数になっている。もちろん、今年も11−12月のシーズンを迎え各河川とも遡上は順調だ。
とはいえ、いずれも当初の「漁業資源確保」という目的からすれば遡上総数が多いとはいえず、北海道などの漁獲量アップもあって流通や採算レベルには達してはいない。しかし、サケの帰る川の復活、自然環境の再生という意味で果たしている役割は大きく、国の補助金が打ち切られた今も、各県とも事業継続の構えだ。
京都府水産課でも「サケは孵化の段階からその川の水でないと戻ってきません。当初は遡上が少なかったので北海道などから卵を入手するなど手探りでした。しかし、サケが帰る川はりっぱに蘇りました。環境保全のPRばかりか観光事業にもすこぶる有効です」と、この年末も来年3月の稚魚放流準備に意欲的に取り組んでいる。(K)